葬式費用は相続税の計算でどう扱われる?
被相続人を供養するためにかかった葬式費用は、一般的に相続人が相続財産の中から負担すべき、または喪主が負担すべきといった2つの考えがあります。
いずれの方式が取られるかは、地域の慣習に依存している面が強いため、一概に言えることはありません。
しかし、いずれにしても葬式費用は人が死亡した以上、掛からざるを得ない費用です。
では、この葬式費用は、相続税の計算ではどう取り扱われるのでしょうか?
葬式費用は相続税が課税されない
原則として、かかってしまった葬式費用に対しては相続税が課税されることはありません。
具体的には、以下のような葬式費用が課税対象から除外されることになっています。
- 遺体や遺骨の運搬などにかかった費用
- 葬式そのものや火葬、埋葬、納骨などにかかった費用
- 葬式自体でなく、お通夜などにかかった費用
- 例外的ですが遺体の見つからなかった場合の捜索費用など
上記は、総じて一般的な葬式費用として捉えられているため、かかった費用の総額が相続財産から差し引かれることになり、相続税の計算上も非課税として取り扱われます。
葬式費用と捉えられていない費用
上記に対して、捉えようによっては葬式費用の一部と言えなくもありませんが、一般的に葬式費用としては捉えられていない費用が以下のものとなっています。
- 香典返しにかかった費用
- 墓碑や墓地(借入料も含む)にかかった費用
- 死亡原因の調査のために行われた司法解剖などの費用
- 初七日といった法事のためにかかった費用
上記は、いずれも葬式費用の一部であると勘違いされやすいので注意が必要です。
弔慰金は退職金として取り扱われる
葬式費用に関連する事柄として、亡くなった方の職場などから支払われることがある「弔慰金」の取り扱いについては注意しなければなりません。
これは、名目こそ違うものの税法上は「退職金」として取り扱われることになっています。
ただし、業務上の死亡であった場合は、死亡前の給与の3年分相当額、業務上の死亡でなかった場合は、死亡前の給与の半年分に相当する額であれば、弔慰金が相続税の課税対象になることはありません。
しかし、金額が大きすぎる場合は、みなし相続財産と取り扱われ、課税対象になってしまうケースも存在します。
いずれにせよ、どういった場合に課税されるのか?については、専門家に相談しながら適正な対応をし、脱税を疑われることがないよう心がけておきましょう。