相続税の納付方法は現金以外に何がある?

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相続税というのは、現金による一括納付が原則です。
しかし、どうしても一括納付ができない場合は、「延納」することで何回かに分けて納付することも可能となっています。
とはいえ、相続財産のほとんどが現金ではなく不動産であった場合、一括納付はもちろんのこと、延納によっても納付が難しい場合があります。

そういった場合は、「物納」といって、現金以外の財産で相続税を納めることもできるのです。
今回は、相続税の納付方法の1つである、物納について詳しくご説明します。

物納を利用する条件と対象となる財産

相続税の物納は、まず延納によっても相続税の納付が困難である必要があります。そして、納付期限までに税務署に必要書類(物納申請書など)を提出することで利用が可能となります。
物納が認められると、以下の優先順位から相続税を納めることが可能となります。
なお、すべて日本国内にある財産であることが前提です。

  • 第1順位 不動産・国債や地方債・船舶
  • 第2順位 株式・社債・証券投資信託・貸付信託の受益証券
  • 第3順位 動産(不動産以外の財産のこと)

一方で、物納が認められていない財産も存在します。

  • 抵当権がついている不動産
  • 共有名義になっている財産
  • 所有権における争いがある財産

後から物納に変更も可能

なお、もともと相続税の延納を選択していた場合、どうしても現金による納付が難しくなれば、後からでも物納に変更することが可能です。
もちろん税務署から許可を得なければなりませんが、延納している以上、期間経過により事情が変わることも当然想定されるため、後からの変更が認められています。
自身の生活状況や相続で得た財産の内容を見ながら、どちらがあっているか見極めましょう。

相続人が複数いる場合の注意事項

実は相続税には連帯納付義務があります。どういうことかというと、相続人が複数いる場合、1人でも相続税を支払わない者がいた場合、他の相続人が代わりに負担しなければならないのです。
さらに、この連帯納付義務によって生じた相続税の支払いは、延納や物納に切り替えることができないと定められています。場合によっては、財産の差し押さえの危険性もあります。
よって、相続人が複数いる場合は、自分以外の相続税の支払い状況にも気を配らなければならない点に注意が必要です。
なお、連帯納付義務には、法定相続人だけでなく遺言により財産を得た「受遺者」も対象となっている点も覚えておきましょう。

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