非上場株式の評価方法の概略
相続財産には株式も含まれますが、その中でも非上場株式は評価が非常に難しいです。
この理由は、非上場株式は株そのものが市場に出回っておらず、公になる取引価格がないために評価が難しいとされています。
しかし、評価額が出ないと相続財産の総額が出ません。
相続財産の総額が出なければ、遺産分割協議で揉めてしまったり、相続税申告ができなかったりと、様々な不都合が生じてしまいます。
そこで、非上場株式はどのように評価するかというと、一般的には主に以下で説明するような2つの方式にて算出を試みます。
純資産価額方式
比較的会社の規模が小さい場合、純資産価額方式によって評価額を算出します。
純資産価額とは、その会社の純粋な資産の合計額から、負債や税金などの支出額を差し引いたものです。
さらに、この純資産価額を会社が発行している株式数で割り、1株当たりの価額を算出します。
ここまでくれば、後は何株所有しているかで非上場株式の評価額が算出されるというわけです。
純資産価額方式であれば、それほど複雑な計算は含まれないため、苦労なくできる方も多いと言えます。
類似業種比準方式
一方で、比較的会社の規模が大きい場合、類似業種比準方式によって評価額を算出します。
類似業種比準方式は、類似業種(対象会社の行う業種に類する業種の中から複数社)の平均株価と1株当たりの配当金額、年間の利益額、そして純資産価額という3つの金額を比準し算出を試みる方法です。
といっても、実際には他にも様々な要素が加味され、一般の方が自力で算出するにはあまりに複雑な計算となるため注意が必要です。
詳しくは国税庁のホームページに記載されていますが、煩わしい計算を自分でしたくない場合や、より正確な評価額を出したい場合は、やはりその道のプロである専門家への依頼が必須です。
相談する専門家を間違えないこと
上記のように非上場株式の評価は簡単ではありません。
この場合に相談するのであれば、公認会計士や税理士です。
この相談をきっかけに、そのまま相続税対策についても聞いてもらえるメリットもあります。
なお、弁護士であれば税理士業務も行えるとされていますが、実際に税理士業務まで行っている弁護士は稀です。
また、司法書士は相続登記等を専門に行っているため、相続税対策まで相談することはできません。
専門家にはそれぞれ、得意不得意があるのです。
目的に応じた専門家を選び、相談する専門家を間違えないようにしましょう。