相続税の計算上、不動産の評価方法は?
相続税は、相続した財産の評価総額を基準に計算していきます。
「でも、相続税なんて課税されたくない」と考える方は多いのではないでしょうか?
よくある相続税対策というのは、財産の評価額をうまく下げることで、相続税の基礎控除内(課税されない範囲内)にしようというものがほとんどです。
しかし、こういった相続税対策をするには、財産の評価方法についても知っておかなければなりません。
今回は、数ある相続財産の中でも不動産に注目して、その評価方法についてご説明します。
不動産とは?
まず不動産の評価方法について説明する上で前提として知っておきたいのが、不動産とはどういったものを指すのか?という点です。
すべての財産は法律上、「動産」か「不動産」かのどちらかに定義されていて、動産というのは、不動産以外のすべての財産のことです。そして不動産というのは、おおまかにいえば、土地とそこにある建物、といった認識をしていれば十分です。
そして、単に土地や建物といっても、相続税を計算する上では、以下で説明するような種類や形態に応じて評価方法が異なっているので、個別に知っておかなければならないのです。
土地の種類と評価方法について
相続税を計算する上で知っておきたい土地の種類は、「宅地」と「農地」です。
・宅地の評価方法
宅地の評価方法は、市街地にある宅地の場合、「路線価方式」という方法で評価をします。
計算式は、「路線価×土地の位置や形状により補正する率×免責」です。
ここでいう路線価とは、国税庁が毎年出している、地域ごとの道路に面した土地の課税価格を計算する基準です。
市街地以外の場合は、そもそも路線価が出ていない地域もあるため、「倍率方式」という方法で評価をします。計算式は、「固定資産税評価額×各地域所定の倍率」です。
いずれも、国税庁のホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp/)をご参考ください。
・農地の評価方法
農地の評価方法は、その農地の周辺状況によって異なります。
まず、純農地・中間農地の場合、上記で説明した倍率方式が用いられます。
次に、市街地周辺の農地の場合は、市街地農地の80%の額が評価額になります。
最後に、市街地農地の場合は、「宅地批准方式」という方法で評価します。計算式は、「宅地批准額(農地を宅地とした場合の額)-宅地造成費、または各地域所定の倍率方式」となっています。
建物の形態と評価方法について
相続税を計算する上で知っておきたい形態としては、単なる「家屋」であるか、「貸家」であるか、それとも「借家権」が適用されているか、「付属設備等」があるかどうかです。
・建物の評価方法
家屋の評価方法はいたってシンプルで、「固定資産税評価額×1.0」で、貸家は「固定資産税評価額×1.0×(1-借家権割合)」となっています。
借家権というのは、建物の賃借権の中でも借地借家法という法律が適用されるものを指しています。なお、借家権については、「固定資産税評価額×借家権割合」という方法で評価額を計算します。
最後に、付属設備等がある場合、その備品の調達価額の70%、または「(再建築価額(もう一度作った場合にかかる額)-経過年数に応じて減額した評価額)×70%」です。