準確定申告と相続税の計算
亡くなった方が生前に確定申告をしていた場合、もしくは確定申告が必要な立場にあった場合、亡くなった方の代わりに相続人がその年の1月1日から亡くなった日までの確定申告をしなければなりません。
これを「準確定申告」といいます。
さらに準確定申告には期限が決められていて、相続開始を知った日(一般的には亡くなった日)の翌日から4ヶ月以内と期間が定められています。
この期間をすぎると、延滞税などを納める危険があるため必ず行いましょう。
準確定申告は相続人全員の名前で行う
相続人が1人であれば良いのですが、複数いる場合の準確定申告は、原則、相続人全員の連名で行わなければなりません。
提出先は亡くなった方の死亡時の住所を管轄する税務署で、提出書類は通常の確定申告と変わらず、単に申告期間が短いだけとなっています。
なお、確定申告書の表題部分に「準」の1文字を書き加えてあげると、税務署側も処理が楽になるため、思い出したらで良いので記載しておきましょう。
支払いをするのは相続人
準確定申告をし、還付がある場合は良いのですが、支払いが生じる場合は相続人全員が納税の義務を負うことになります。
ここでの負担割合は、原則、法定相続分の割合となります。
還付があった場合、支払いがあった場合、いずれであっても相続財産の中から清算することも可能なので、必要に応じて相続人全員で話し合って決めるようにしましょう。
ただ、所得税の未払いはマイナスの相続財産になるため、あまりに支払い負担が大きすぎる場合は、相続放棄(家庭裁判所にて行う手続き)によって支払いを免れることも可能です。
準確定申告と相続税について
上記のように、準確定申告によって所得税の支払いが必要な場合、マイナスの相続財産になります。
ということは、場合によって所得税の支払いにより、相続税から免れるケースがあります。
たとえば、相続税の基礎控除額は3000万円+(法定相続人の数×600万円)で、これをオーバーすると相続税の支払い義務が生じます。
多少極端な話ですが、相続人が1人で相続財産が3000万円ある状態で、準確定申告による所得税の支払いが1円でも生じれば、相続税を納める必要がなくなります。
相続財産からマイナスできることが、プラスに転じる可能性が十分になるのが相続です。
うまく利用して、余計な税金を納めることがないように手続きを取っていきましょう。