立て続けに相続があったEさんの場合

2年ほど前、Eさんの父が亡くなってしまい、母と2人で協力しながら相続手続きを終えました。
この際、相続税申告も行い、Eさんはしっかりと現金にて税金を納めていたのですが、この度、Eさんの母も亡くなってしまい、両親のすべての遺産をEさんが相続することになったのです。
当然、お父さんが亡くなった際に相続税申告するほど財産があったのですから、今回、Eさんのお母さんが亡くなった際も相続税申告をしなければなりません。
しかし、立て続けの相続だったことと、今回は遺産よりも不動産が多く、現金がないために相続税の支払いが不安で仕方がありません。

・相続税は原則現金一括支払い

相続税の納付というのは、原則、期限内に現金一括で支払いしなければなりません。
しかし、今回のように最初の相続の際、現金にて相続税を納めていると、相続が重なった場合に不動産ばかりが遺産になってしまい、現金がほとんどない状態にもなりかねないのです。

困ったEさんは、ご両親が亡くなった後は自身が住もうと思っていた自宅を売却しようか検討することにしました。
とはいえ、長年親しんだ家が無くなるというのは大変耐え難いものです。
どうすれば良いのかと、Eさんは専門家にアドバイスをもらうことにしました。

・相次相続控除を利用する

相続では、Eさんのように相続が立て続けに起こることがあってもおかしくはありません。
しかし、2回続けて相続税を課税されるとなると、多大な税負担になってしまいます。
そのため、「相次相続控除」といって、10年以内に立て続けに相続があった場合、2回目の相続時に1回目で納めた相続税の一部を差し引くという特例があります。

最初の相続と2回目の相続との期間が空けば空くほど、控除率は低くなってしまいますが、今回の場合、わずか2年後の相続だったため、多額の控除を受けることができました。

・相続税を支払わずに済んだ

相次相続控除のおかげもあり、Eさんは相続税を支払わずに済みました。
その後、Eさんは長年親しんだ自宅が売却されることもなくなり、ご両親が残してくれた自宅に自身の奥様と子どもとそろって住むことができています。
もし、専門家から相次相続控除のアドバイスを受けていなければ、相続税を納めるために自宅を売却してしまうところでした。後から気付いても売却後ではもう手遅れです。
相続では後からでは手遅れになる事柄も多いため、困ったことがあれば早い段階で専門家に相談するようにしましょう。

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