長男に家業を継がせたいMさん
Mさんは、自身の長男にどうしても家業を継いでもらいたいと考えています。
しかし、4人いるMさんの子どもたちは、どうにもあまり仲が良くなく、このままだと遺産分割で揉めてしまうのでは?と心配に感じています。
遺産分割が揉めてしまえば、相続税の申告も間に合わなくなってしまいますし、なにより自身の遺産で子どもが揉めるのはとても辛いものです。
そこでMさんは、長男に家業を継いでもらうのを前提に、どのような対策をしておけば子どもたちが揉めずに、また相続税申告もスムーズにできるのかを専門家に相談することにしました。
生前に親密な付き合いを実現する
子どもたちがまだ独身である場合、たとえ独り立ちをしていたとしても、実家へ帰る機会を増やすことはできるはずです。
そこで、自身が生前のうちに子どもたちが不仲にならないよう、実家に集まる機会を増やし、親密な付き合いを実現することが大切です。
子どもたちの仲が悪ければ悪いほど、Mさんの希望である長男に家業を継いでもらう弊害になりますし、遺産分割協議もうまく進まない可能性が非常に強いのです。
また、子どもたちが別々の家庭を持っている場合、その妻や夫が口出ししてくる可能性は十分にあり、遺産分割協議がより複雑になる危険が十分にあります。
遺言を利用する方法も
上記のような場合は、遺言を利用し、長男に家業を継いでもらうことだけでなく、子どもたちそれぞれの持ち分についても指定してしまう方法もあります。
この方法であれば、遺産分割協議をする必要がありませんし、その後の相続税計算はもちろん、申告自体もスムーズに行える可能性が非常に強いです。
しかし、遺言の場合は、子どもたちが持つ遺留分についても配慮しなければなりません。
遺留分とは、相続人が最低限相続できる持ち分のことで、これを侵害された場合、取り戻し請求(遺留分減殺請求といいます)が可能となっています。
となれば、不仲に拍車をかける危険もあるため、遺言作成時は必ず注意しましょう。
専門家のアドバイスで無事に解決
Mさんは専門家に相談し、子どもたちと接する機会を増やすことと、将来的に長男には自身の介護や家業の手伝いなど、責任の一端を担ってもらうことにしました。
また、いざというときのために遺言も作成することにし、今後の子どもたちの様子を見ながら内容を変更していくことにしました。
遺言というのは、もっとも新しい日付のものが優先されるため、後からいくらでも書き直すことができるのです。
一人ではどうにもできなかった心配事が専門家のアドバイスで解決し、Mさんも一安心です。